期待と不安のニューヨーク初日

Room 550

ヒルトンホテルやシェラトン等とは全く違い、このワシントンジェファーソン ホテルは団体ツアーの客には縁が無かった。フロントで彼女が何か交渉してくれている間、僕はまわりを観察していた。ロビーにはテーブル、ソファーなど何も なく、外から漏れ込む明かりだけで薄暗い。フロントのカウンターの内で働く男はTシャツとジーンズで、出入りする客達もほとんどがバッグパックを背負った 旅行者風の人々だ。
この全体的に、cheap で、junk な感じは、僕を身構えさせる事もなくリラックスさせた。
(なんか、いいじゃん。ワシントンジェファーソンホテル!)

間もなくすると彼女が部屋を見てみようと言ってきた。僕らが案内されたのは5階の" Room 550 "。
古ぼけたドアを開けるとすぐ左手にガスレンジ(アメリカではストーブ)と小さな調理台がある。
スプリングの弱ったベッドが2つ。勿論クーラー等無い。窓からは中庭をはさんでこのホテルの別棟が見えるだけ。案の定、部屋のなかの全てが shabby (古くてみすぼらしい)だ。
But, it's good enough to us to stay !(僕ら、泊まるのにはそれで十分だ。) 僕達はすぐOKをだした。ホテル代に金をかける気など、はなっからなかったし、それに部屋で調理できるのも都合 がいいと思った。

料金は1週間分の前払いで175ドル。当時、1ドルが約150円、二人で割れば一人頭約90ドル。と言う事は一日一人分は13ドル。つまり一日の宿 泊費は1950円だった。

この日から、引っ越すまで、およそ2ヶ月の間、ここで生活する事になるのだった。

数日後、僕がこのホテルの話しを書いた葉書を東京の友達に出したら、なんと、友人の"E"はその10日後、同じく"J"は1ヶ月後にそれぞれのア パートを引き払ってここにやって来たのである。二人ともその時19歳、僕とバンドを組んでいたこともある連中で、音楽を志す若者にとって、NYで生活する 事がどれだけ魅力的に思えたかは容易に察しがついた。彼ら二人とも僕らの部屋に着いたときの所持金は200ドルにも満たなかったが、表情は初めて見るほど の明るさだった。
異国での不安よりも希望が何倍もまさっていたのだ。彼らにしてみれば、当時30をとっくに超えた僕らがいきなりNYへ行き、そこで生活を始め、来た手紙に は何やら面白そうな事ばかり、これじゃ俺達若者が行かないで何とする、ってな事だったのかもしれない。
やはり彼らは、その後僕らよりさらに何年も長く住むことになった。
"E"は今も住んでいるはずだが消息はない。

*** keep in touch (連絡を保つ)
あの人は今どこで、どうしてるのかな?とかならないように
時折連絡が欲しいものです。そんな時に使うきまり文句です。

Wherever you go,keep in touch with me.
(何処に行こうと、連絡はしてね)
"keep" はとてもよく使われる言葉の一つです。他にはこのように。
Keep the change. (つりはいらないよ)
You can keep it. (それ、君にあげるよ)
この例のように"keep"を使うと相手の物になるのです。日本で言う
「それキープしておいて」つまり、それはまだ私のものでただ預けて>
いるだけなのだ。という意味とはまったく違います。気をつけましょう。
その場合は "hold" を使います。
Hold it.(それ、保っておいてね)それの所有権は私。
Keep it.(それ、あげる) それの所有権は相手に移る。

Well,let's keep going on !! 


First dinner in NY(最初のディナー)

当分の寝床を確保できて一息いれた後、早速僕達は辺りを探検し始めた。
一番の目的はペコペコなお腹を満たす事だった。レストランはいろいろあったが、いろんな理由で避けた。数分も歩くと 、Koreangrocery(韓国食料品店)があった。店の前に並べられた色鮮やかな果物にひかれて店内に入ってみた。Korean grocery といっても、韓国産の物だけ売っているわけではなく、NYではコンビニエンス ストアーの一種であり客も普通のアメリカン達である。
内に入ると中央に陣取ったSalad bar(サラダバー)がいやおうにも目に着いた。サラダバーといってもチキンの煮物やフライドライス、卵料理、ソーセージ等々バラエティーにとんでいる。
バイキングスタイルのように好きな物を取り合わせて買えるので便利だ。僕はその20種類位もある料理の中から、のり巻き、チキンレッグ、生野菜サラダを取 り、缶コーラを添えてレジに行った。

サラダバーからの物はそれぞれ目方で料金を計算する。正確な値段は今では覚えていないが思ったよりかなり安かった。こうして何の会話も必要とせずに 食料を手に入れる事ができ、安心してホテルに戻る事ができた。実は、レストランを避けた理由の一つはこの「会話」だった。
レストランで食事をするとなれば当然「英会話」が必要となる。これがとても不安だったのだ。

早速のり巻きにかじりついた。 、、、、あれっ、、、何か変?
この飯、酢飯じゃない。見た目は日本の太巻きと違いは無いが、なかの飯が酢飯じゃなかった。
普段、当たり前だと思っていた事が簡単にくつがえされる。こんなに小さな事でさえ、カルチャーショックの一つになり得る異国での体験。これからのアメリカ 生活にますます興味がひかれた。
「アメリカ」を味わった最初のディナーだった。
なにはともあれ、寝床を得て空腹も満たした。

Gooooood night,everybody!! Have a nice dream !

***  hang around(あたりをふらつく。うろうろする。)
のらくらと時間を過ごす意味で使います。

Just hang around there. I'm gonna be there in 10 minutes.
(その辺でのらくらしていてよ。10分後にそこに着くからさ。)
上の例文の in 10 minutes ですが,これは重要です。10分以内に、ではありません。
10分経ってからと言う意味になります。

"hang"に関する言葉をもうすこし。
hangover(二日酔い)
hang up (電話を切る)
Don't hang up! I have something to tell you.
(まだ電話をきらないで!伝えたい事があるんだ。)


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